私が子どもの時、勤めから帰ってきた父が私を自転車の後ろにのせて、毎日のように踏切に連れて行ってくれました。そして、父といっしょに上り下りの列車の両数をかぞえました。昭和30年くらいのことです。電車はどれも8両でした。でも、貨物列車がひんぱんに通っていました。貨物列車は、かぞえてみないと何両かわからない。私は「い~ちい、に~、...」と声に出して、かぞえていました。長いものだと30両くらいありました。長い列車だと、なんだか嬉しくて、「34だった」などと、はしゃいでいました。当時、貨物列車を引っ張るのは、蒸気機関車でした。夕焼け空をバックに、蒸気機関車がシュッシュッシュッと蒸気の音を響かせて通りました。千葉駅に近い総武線の踏切でした。夕焼けが消えて、真っ暗になると、家に帰りました。空には星が見えました。
私は、学校の算数で苦労することはなかったのですが、後で考えると、この「列車数え」で多くのことを身につけていました。数を、ぽんと数字で示されるのではなく、一つ一つ増えたり減ったりするものとして自分の力で把握する。そして、「数は分割したり、くっつけたりできるものだ」ということが、列車をかぞえていれば自明のこととしてわかるのです。
父は「教えよう」という下心があってやっていたのではありません。「いまのは何両だった?」と念押しするようなことは全くしなかった。ただ子どもが喜ぶからやっていた。そのことには、今、感謝の念にたえません。下心なしに、発見や喜びがあるから共有する。この積み重ねが、真の知性を創っていくのです。
そんな思いがあって、子どもを試すような雰囲気にしたくない、ただその列車をかぞえたくなる。そんな教材を作りたいと思っていました。やっと作れました。
子どもが数概念を形成するお役に立てると思います。ぜひ遊んでみてください。


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